修羅天魔
2019.11.8鑑賞
『修羅天魔』
ここ最近、月1ペースでゲキシネを鑑賞している。
誘ってくれる友人にも会え、私としては嬉しいかぎり。
そして劇場に行くよりもお財布に優しい。
やはり舞台は、空気感も味わえる生に勝るものは無いのだけれど、それはそれでオペラグラスがないと全体が見渡せなかったりというデメリットもある。
気軽にストーリーや芝居を味わいたいのであれば、ゲキシネでも十分。
ゲキシネというものがもっと浸透して、どの舞台も千秋楽後に映画館で上映してくれないものか。
そうすれば、もっと舞台が身近なエンターテインメントになると思うのだけれど。
さて本題。
この『修羅天魔』は『髑髏城の七人』に登場する極楽太夫を主人公とした作品。
『髑髏城の七人』の劇中、たしか捨之介(主役)の台詞で極楽太夫にも抱えている過去があることを匂わす箇所があった。
だから前日譚的なストーリーだと思っていたのだけれど、実際はパラレルワールドというか、捨之介と森蘭丸がいない世界線での『髑髏城の七人』だった。
その2人の役割を極楽太夫が一手に担っている。
そして、細かな流れや設定には変更がありつつも、見事に『髑髏城の七人』の流れに沿って進んでいく。
突然ミュージカルが始まったのには驚いた。『レ・ミゼラブル』を思い起こさせたが、なるほど演者が『レ・ミゼラブル』に出演しているではないか。
欲を言うと、天海祐希にもミュージカルパートをさせて欲しかった。
宝塚時代の天海祐希を見たことがないから。
また、衣装の色が『髑髏城の七人』と違うキャラクターが何名かいた。
極楽太夫は水色から白地に青と紫。
沙霧(霧丸)が青からオレンジ。
兵庫はオレンジから赤へ。
蘭兵衛の代わりとなる夢三郎は、下弦の蘭兵衛と同じ青。
極楽太夫は捨之介の衣装に近くなっている。
髪型も捨之介にかなり寄せている。
違いは紫もあしらわれていることだろうか。
これは信長存命中は、蘭丸の役割を担っていることから上限の蘭兵衛の紫が取り入れられているのではないか。
兵庫がオレンジから赤になっているのに最初戸惑った。
というのも、兵庫の子分たちがそれぞれ赤、青、黄色、黒、白の名を持ち、もちろん衣装にも取り入れられているから。
そう、赤が被ってしまうのだ。
しかし兵庫が正義、夢三郎が悪の対立するライバル関係だということ、演出がいのうえひでのりだということを踏まえれば、納得がいく。
歌舞伎だ。
歌舞伎において、赤は正義、青は悪を指す。
そう考えれば兵庫は赤でなければならない。
沙霧が青からオレンジになったのは、混乱を避けるためであろう。
ところで、劇中「太夫生着替え中」という手持ち看板が掲げられるシーンがあるのだが、あれは本当に生着替えしていたのだろうか。