ときどき旅に出るカフェ
2019.12.5読了
『ときどき旅に出るカフェ』近藤史恵
『タルト・タタンの夢』と同じ近藤史恵作品。
こちらは主人公の瑛子が、近所に小さなカフェを見つけるところから始まる。
そのカフェの名前は「カフェ・ルーズ」そして、そのオーナーであり、唯一の店員は瑛子のかつての同僚、円だった。
同僚時代は特に仲が良かったわけではない2人だけれど、この再開でだんだんと仲良くなる。
話の構成自体は『タルト・タタンの夢』に近いかな。
それよりも各々の話は短いので、こちらの方が読みやすいかもしれない。
『ときどき旅に出るカフェ』の魅力は、なんと言ってもそのメニューだ。
アルムドゥードラーに鴛鴦茶、ロシア風ツップフクーヘンそして表紙になっている苺のスープ。
どれも字面だけだと想像しにくいが、読んでみるととても美味しそうだ。
登場人物に女性が多い、というか、カフェ・ルーズに好意的(カフェ自体は気に入っている)登場人物は女性が多く、男性の登場人物は容疑者や商売敵、あとはカフェ・ルーズには興味がなかったりと、ハッキリと区別されているのは印象的だった。
ここに作者は何かしらの意図があったのかしら。
おひとり様と言う言葉が使われるようになって久しいけれど、1人で行ける行きつけのカフェがあるって素敵だなと感じた。
読むと異国の食べ物に想いを馳せずにはいられないそんな1冊。