儚い羊たちの祝宴

 

2019.11.16読了

儚い羊たちの祝宴米澤穂信

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これほどまでに己の読書不足を悔やんだことはない。

読了後、楽しかった思いと同時に悔しさがふつふつと湧き上がってきた。

 

儚い羊たちの祝宴』は「バベルの会」という読書会でゆるく繋がれた4つの短編によって成っている。

 

読書会という共通項があるからなのか、読者の読書における教養が試されていると感じた。

 

というのも、おそらくどの作品も様々なミステリ文学を1つのピースとして、パズルのように組み上げられているのではないかと思うからだ。

 

残念ながら、私が自力で発見できたのは乱歩の『二癈人』のピースだけだったけれど。

わかりやすくキーワードになっているものは、スマホで調べながら読みすすめていた。

たとえば「アミルスタン羊」とか。

ピンと来ない方は、どうぞ先にスタンリィ・エリンの『特別料理』をお読みください。

 

4篇とも事件の起こりと同時に、オチが読めるので、謎解き的な要素はない。

それなのに、物語に吸い込まれていくのは、知的好奇心からなのだろうか。

あぁ、やはりこういうオチなのか。と納得したくて読み進めているような感じがあった。

 

幾人かの作家を除いて、近代文学には苦手意識があるのだけれど、やはり読まねばと再認識させられた。