モモ

 

2019.3.27読了

『モモ』ミヒャエル・エンデ / 訳:大島かおり

 

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NHKの「グレーテルのかまど」という番組で紹介されていた作品。

時間泥棒から時間を人々の「時間」を取り戻すため、小さなモモが奮闘する物語。

あらすじをこのように紹介していて、とても興味を持った。

そして、『モモ』を読まなければならないのではないか。と使命感のようなものが芽生えた。

何故そこまで強く感じたのか自分でも疑問なのだけれど、本屋さんに行ったら絶対に買おうと、密かに心に決めていた。

 

序盤はジジやベッポ、子供たち、町の人々とモモの日常が描かれていて、いかにも児童文学という雰囲気だった。

しかし、「時間どろぼう」が登場してからだんだんと人々に余裕が無くなり、モモが再び町に戻ってくる頃には様子がすっかり変わってしまっている。

この時の人々の余裕の無さがとても身につまされる。

勤務中然り、プライベート然り、身に覚えが無いといえば嘘になる。

予定を詰め込み、効率を重視し、スピードを競うように物事を片付けていく。

もちろん、それ自体が悪いことではない。

けれど、その余裕の無さから何か大切なものを見失ってしまっているのではないか。

そもそも、なんの為に時間を節約しているのか。

効率とは。生産性とは。余裕とは。時間とは。

 

読み進めているうちに、自分も社会の歯車になりすぎてしまって、「自分の時間」を見失っていたような気がする。

「自分の時間」ってなんだったかしら。

 

 

対象年齢が小学5・6年生以上になっているけれど、個人的には社会で働く大人にこそ、読んで欲しい1冊。

そして、いつか子供ができた時に必ず読ませたい1冊。