パリでメシを食う。
2019.3.16読了。
『パリでメシを食う。』川内有緒
最初にこの本を手に取った時、パリで暮らす人々の群像劇だと思った。
いや、違うな。それだと当たらずも遠からずになってしまう。そうではない。
つまり、フィクションだと思っていた。
しかし、描かれていたのは生身の10人の日本人の生活だった。完全なノンフィクション。日々の生活そのもの。決して成功者を美化したサクセスストーリーではなく、キラキラしたシンデレラストーリーでもない。
清濁併せ持った人間が明日のパンの為に働き、生活して行く、『パリでメシを食う。』というタイトルそのものだった。
先程、成功者のサクセスストーリーではないと綴ったけれど、登場する人々は世間的には成功者とされる人々であろう。
パリコレで活躍するスタイリストや、世界的に活躍するフローリストは間違いなく成功者だ。
けれど、『パリでメシを食う。』では、その成功のプロセスを綴っているのでも、美化しているのでもない。
その人が内に秘めている葛藤や信念……。
それらを垣間見せてくれる。この人達も私達と何も変わらない1人の人間なのだと感じさせてくれる。
活躍の場がパリなだけに、言葉の壁や文化の違い、その他メリットもデメリットも日本とは違う環境に戸惑い、乗り越えた彼等の姿勢は、自分ももう少し頑張ろうと奮起させてくれる。
自分の大切なものは何か。
目標や信念を見失っていないか。
優先順位はぶれていないか。
私らしさとは。
そんな自分のことを振り返るきっかけをつくってくれた1冊。
そして、ちゃんと自分の人生を大切にしようと思わせてくれた1冊だった。