江戸川乱歩傑作選
2018.11.8読了
収録作は以下の通り。
全ての作品を通して、意外性に富んでいた印象だ。
つい、作品の世界にのめり込んでしまう。
また、様々な時間の潰し方を提示される。決して真似をしようと思うのではないけれど。
有名な明智小五郎が出てくるのは『D坂の殺人事件』『心理試験』2作。
やはり今なお人気があるだけあって、明智小五郎が出てくる作品はどちらも面白かった。
明智小五郎もやはり変人であるが、ホームズよりも親しみやすい人柄のように感じた。
『二銭銅貨』では松村の推理ぶりと、その上をいく”私”の推理。そして最後はそういう事だったのかと納得と余韻の残し方が上手い。
『赤い部屋』では読者へのミスリードは絶妙でハラハラさせられたし、『屋根裏の散歩者』は奇妙な疑似体験ができる。そういえば『あの家に暮らす4人の女』でも少し触れていた。
『人間椅子』はこの中で1番好きな作品だ。
夫人の元に届いた1通の告白文とも取れる手紙。歪んだ愛情と気味の悪さと、それに伴う恐怖が絶妙だった。
『芋虫』は後味が頗る悪かったが、1番印象的だった。「ユルス」という3文字に夫の様々な感情が込められていたのだと思うと、とても切ない。