欲望という名の電車

 

2019.4.25読了

 

欲望という名の電車

テネシー・ウィリアムズ / 訳: 小田島雄志

 

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220頁ほどの決して長くはない作品だけれど、読後はどっぷりと余韻に浸りたくなる作品。

 

戯曲は舞台や映像作品で鑑賞するのも、もちろんとても面白く、魅力的だけれど、読むのもとても面白い。文字しかない分、読者の想像が無限に膨らんでいく。

 

ブランチの気高さ、弱さに触れて切なくなる。

ブランチとは対極的なスタンリー、中立の立場にありながら両者の緩衝材になれないステラ、そしてミッチ。

 

傍から見たブランチは狂ってしまっているけれど、当人は全く狂っていると気がついていないのではないか。

ブランチは気高く、だからこそブランチ自身の理想の自分を演じていたのではないか。

そして次第にその境界線が曖昧になってしまっただけなのではないか。

 

この切なさが、やるせなさが、なんとなく美しいと感じる。