ティファニーで朝食を
2019.6.24読了
トルーマン・カポーティ / 訳: 村上春樹
Moon Riverのメロディが流れるオルゴールを鎌倉で購入した時に、読むことを決めた作品。
映画の『ティファニーで朝食を』は鑑賞したことがあるので、内容自体は把握していた。
映画版は好きなのだけれど、学生の時に私に根付いてしまった村上春樹への苦手意識で、積読の中からなかなか手に取ることができず…。
けれど、意を決して読み始めてみると、学生の時に感じた苦手意識はそこまで感じず、ホリーの奔放さや華々しさ、美しさが鮮やかに描かれていた。
そして私の想像の中では、ホリーをオードリー・ヘップバーンとマリリン・モンローが演じていた。
オードリーは言うまでもなく映画でホリーを演じていたからであるけれど、マリリンでも想像してしまったのは、そもそもカポーティがホリーをマリリンの役として当て書きしたらしいという情報を聞いたことがあったからだろう。
たしかにホリーの外見の描写はオードリーというより、マリリンに近かったように思う。
映画と原作では内容が多少異なっていたような気がするけれど、オードリーはもちろん、マリリンも、どちらのホリーもとても魅力的だった。
あくまで私の想像の中だけれど。
同録されていた短編の中では『花盛りの家』が印象的だった。
オティリーが友人から貰った大切な裁縫バスケットの中に猫の頭やら蛇やらを見つけた所からがとても印象的だった。
それまでボナパルト婆さんのどんな虐めに対しても基本的に耐えていたオティリーが反撃にうってでる。そしてその反撃によってボナパルト婆さんは亡くなる。
これが呪い返しのようでもあり、ラストまで読むと、ボナパルト婆さんを殺すことで、婆さんからオティリーに魔女が継承されたのではないかとも読める。
『ティファニーで朝食を』はもちろん、収録されている他の短編3作もすべて風景描写が鮮やかで美しかったのが印象的な作品だった。