試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。
2018.12.18読了
『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』尾形真理子
タイトルと表紙の可愛らしさに引かれて思わず手に取っていた。所謂ジャケ買い。
作品自体も、とてもかわいらしい。
いろいろな恋の形ではあるけれど、好きな人の事を思って服を選ぶ女性は皆、とても可愛らしいのかもしれない。
試着室で着替えた時、私達はちょっとした不思議体験をすることがある。
似合っているのにしっくりこないと感じたり、今まで似合っていたものが似合わなくなっていたり。
明確に言語化するのは難しいけれど、なんか違う。そんな感覚。
そんな不思議体験に明確な答えなんて見つからないと思っていたけれど、この作品が教えてくれた。
「似合い過ぎ」「内面が変化することで、見た目の印象も変わってきたりする」
そして、今まで手に取らなかったような服が、自分の魅力を引き出してくれる。
私もまさに先日、同じ体験をしていた。
いつもは手に取らないような緑のワンピース。
クリスマスに友人のダンスを観に行くのに丁度いいのではないかと試着してみると、自分で言ってしまうが、とても似合っていた。私の為に作られた服なのではないかと錯覚してしまったほどに。
彼女達もそんな自分の為の1着の服に出会い、前向きになる。そんな彼女達が全員健気で可愛らしい。エピローグで語られる店員も含めて。
そういえば、以前友人に借りた『フィッターXの異常な愛情』も下着を試着して主人公が前向きになっていくお話だったような…。
試着室には特別な力があるのかもしれない。