ツバキ文具店
2019.4.9読了
『ツバキ文具店』小川糸
先日読んだ『小川食堂』の作者、小川糸の作品。
代筆屋の話なので、主人公、鳩子はいくつも手紙を書いていく。
鳩子が書いた手紙を収録しているので、読者も鳩子の作品を見ることができるのは有難い。
文字の形は然る事乍ら、文字の配置や勢い、使う筆記用具でも個性が出るものだと感心した。
なにより受け取った相手の抱く印象がかなり変わって来るだろうと感じた。
また、鎌倉の描写が巧妙で、鎌倉の空気感が伝わる。鎌倉に行きたくなる。
バーバラ夫人や男爵やパンティー、QPちゃん親子との人間関係の穏やかさにもどこか鎌倉らしさというか、のんびりした柔らかい印象を受けた。
作者が鎌倉に住んでいた経験があるからなのだろうが、見事に鎌倉という町が表現されていると感じた。
そう言えば、紫陽花の時期に鎌倉に行ったことがない。来月下旬頃から咲き始めるだろうか。今年こそ鎌倉の紫陽花を見に行きたい。
そして、Twitterで呟いた通り、先代とイタリア在住の先代のペンフレンドとの手紙と、鳩子から先代に宛てた手紙は涙が溢れた。
そして考えさせられた。
特に先代の手紙の方は、私の母も少なからず同じことを考えているのではないかと思わずにはいられなかった。親の心子知らずとはよく言ったものだ。
今は母と離れて暮らしているが、帰れない距離ではない。もっと帰ろう。そして一緒に過ごす時間を増やそう。
母に先代のような寂しい思いをさせないように。
『ツバキ文具店』はNHKでドラマもやっていたようで、YouTubeでCMを見たのだけれど、配役がとてもしっくりくる。鳩子やバーバラ夫人だけでなく、マダムカルピスまでが納得の配役。さすがNHKというところか。
QPちゃんがはーたんになっていたのは少し残念だけれど、大人の事情なのだろう。
仕事が落ち着いたらDVDをレンタルしに行こうかしら。