残るは食欲
2018.10.3読了
『残るは食欲』阿川佐和子
古典以外で初めて読んだエッセイ。
そしてエッセイの楽しさを教えてくれた1冊。
まず特筆すべきは、阿川佐和子の紡ぎ出す文章の可愛らしさ。
決してぶりぶりしているわけではない。
著者の人柄なのだろう。
茶目っ気があって、食に一途で、可愛らしさが滲み出ている。たまに垣間見せる毒気と孤独感がいいスパイスになっている。
また、『叱られバター』『肉味噌妄想』『パブロフの蕎麦』などネーミングセンスが傑出している。
思わず、笑みが溢れてしまうし、タイトルが本文へのいい誘導役になっている。
1番最初が『一丁の至福』で湯豆腐の話なのもセンスがいいと感じた。
読み終えてすぐに第2弾と第3弾である『魔女のスープ』『娘の味』を買いに行ったくらい、私の心を鷲掴みにした作品。