あまからカルテット
2018.10.10読了
『あまからカルテット』柚木麻子
私の柚木麻子作品デビュー作。
実は間違えて2冊持っている…。
既に買っていたことを忘れて、どうしても気になって買いに行ってしまったのだ。
なんという失態。
読み進めているうちに友人達にとても会いたくなった記憶がある。
『あまからカルテット』読了の1週前にディズニーシーに行ったばかりであったのに。
また、この作品を読んで、改めて強固な友情を築くことが出来るのは、学生時代だけではないかと。
社会に出てからは会社と家の往復ばかりで、同僚は友ではないし、やはり学生時代をよく知る、損得勘定の働かない友人達がいてくれることは、とてもありがたいことなのだと。
話を戻そう。
『あまからカルテット』も『ねじまき片思い』のような探偵パートがある。
しかし、『あまからカルテット』は友人4人にそれぞれ食に関わる難題がふりかかり、それを当人を除く3人が協力し、解決していく。
これらの味だけで真相に辿り着いてしまうのだから、女の友情と食への執念は果てしない。
最後のおせちの話はこれからの時期に丁度いい。
それぞれ一〜四の重を担当し、それを薫子の家で1つのおせちにする予定をたてる。
薫子の姑が襲来する元旦までに。
しかし、咲子、由香子、満里子は足止めをくらってしまい、薫子の元にはおせちではなく姑が元旦前に来てしまう。
各自なんとか窮地を脱し、薫子のところに辿り着いたところで伍の重の存在を知る。
この伍の重は「可能性のお重」なのだ。
そして「私達、四人で一人だとずっと思っていたけれど……」「一人でもやれるから、四人でもやれるんだね。皆と友達でよかった……」という咲子の台詞が物語を総括している。
また、4人全員が成長したからこそ出た台詞であり、伍の重を”可能性のお重”として受け入れられたのだと感じた。