手のひらの京

 

2019.5.12読了

『手のひらの京』綿矢りさ

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ずいぶん前にフォロワーさんに教えていただいた作品。

教えていただいてからしばらく経った時にほん屋さんで見つけて、思わず購入。

 

結論から申し上げると、とても面白かったです。

もしかしたら今まで読んだ綿矢りさ作品の中で1番好きかもしれない。

 

谷崎潤一郎著の『細雪』を下敷きにしているのがよく分かる。

羽依はこいさんと呼ばれる妙子がモデルであろうことはとてもわかりやすいのであるが、

綾香は姉(あん)ちゃんで幸子かと思うと、恋愛(結婚)に慎重なところが雪子らしくもある。しかし、妹達との接し方はやはり幸子のような気もする。

凛は誰であろう。両親は鶴子夫妻であり、京都が好きなところは幸子や雪子のように頑ななところがある。

しかし、凛は反対に東京に出ていこうとする。東京で頑張ろうとするところは鶴子なのか…。

わからなくなってきたので、ここら辺で止めておこう。

 

 

『手のひらの京』を読んでいると、観光地としての京都ではなく、そこに住まう人々の地元としての京都が描かれている。

京都が地元ではない人間には想像のつかない力を持った土地なのだということが伝わってくる。

私にとって京都は観光地の範疇を出ないけれど、久しぶりに京都に旅行し、京都の空気に触れたいと思った。